『うう……気分が晴れません』
『また地獄みたいな顔してますね』
『……そんなにひどいですか』
『ええ。休日にその顔は、だいぶ反則です』
『……』
『はい、その沈黙も含めてアウトです。外、行きますよ。外』
『今からですか?』
『今からです。家の中で反省会しても、今日はあまり良くならないと思います』
ペダルを踏んでいる間は、悪いことを考えなかった。
まるで瞑想みたいだった。
車と違って、自転車は自然との距離が近い。
家の近くの干潟では潮が引いていて、普段は見えない地面が見えていた。
そういえば、メンタルを良くしたかったら贅肉は邪魔だと、精神科の先生が言っていた。
あれはきっと、血流の話なんだと思う。
だって、お風呂って気持ちいい。
普段は通らない狭い道を走った。
大人になってから、寄り道はあまりしなくなっていた。
楽しい。
運動というより、回復に近い感じ。
たぶん、ポタリングというやつだ。
こいでいる間、いろんなアイディアが浮かんできた。
外に出た瞬間に元気になったのかと思ったけど、
実際は、少しずつ切り替わっていっただけなのかもしれない。
二日前のやらかしで、ずっと自分を痛めつけていた。
でも、心地よく身体を動かさないと、
こういう悪い毒は抜けていかない気がした。
アクティブレスト、という言葉が頭に浮かんだ。
目的地は、少し遠くの寂れたデパート。
祝日だけど人が少ない。
正直に言うと、そこまで賑わっていないところが落ち着く。
明日の仕事に向けて、
闘志を燃やすつもりで辛いカレー屋さんに入った。
『辛いみたいですけど、大丈夫ですか?
……まぁ、良いです。好きにしたら』
汗をかきながら、明日のことを考えていた。
さっきまでよりは、少しだけ前を向けていた気がする。
家に帰る。
『帰ったらモンハンでもして、元気出します』
『そのいきです』
夜になると、また不安が出てきた。
『さぁ、寝ますよ?』
『まだ居たのですか?』
『当たり前じゃないですか。ルームメイトなんですから。
電気、消しますね』
……少し間があって。
『寝れてないんですね』
『夜になると、また不安になってきたんですね。
まぁ、そんなもんでしょうよ』
昼に少し楽になっても、
夜に揺り戻すことはある。
それでも今日は、ひとりではなかった。
家の中では解決しなかった。
考えても、反省しても、どうにもならない日だった。
でも、外に出て、身体を動かして、
誰かと過ごしたことで、少しだけ楽になれた。
もし、休日が惨めで不幸に感じられる人がいたら。
それは、あなたが弱いからじゃない。
考えるのをやめられない日もある。
そんな日は、考えずに動いてもいい。
自転車でも、散歩でも、ゲームでもいい。
誰かがそばにいれば、なお良い。
今日は、それで十分だった。
仕事でやらかした次の休日がつらかった。自転車に乗ったら少し楽になった
こころ

コメント