鬱と海

日記

※注意:希死念慮が強いときは、一人で海へ行くことはおすすめしません。そんな日は家族や相談窓口、医療機関を頼ってください。この記事は、私自身が「気分転換」として海を利用していた体験談です。

私は海のそばで産まれた。だから海が大好きだ。

鬱になって思った。

海は、とてもいい。

これは私が恵まれていると思うことの一つなんだけど、家から自転車で20分ほど走れば海へ行ける。

だから休職中、何もすることがなくてモヤモヤしている日は、よく海へ向かった。

ただ、一つ条件がある。

陽キャが集まる海には行かない。

海が好きと言うと、夏だ、BBQだ、サーフィンだ、ウェーイだ、みたいなイメージを持たれるかもしれない。

でも私は陰キャだ。

シーサイドで生まれ育った陰キャである。

だから、私が好きなのは賑やかな海水浴場ではない。

淡々と海を眺めたり、泳いだり、釣りをしたり。

そんなふうに、それぞれが静かに海を楽しんでいる場所だ。

そういう場所を私は知っている。

自転車を停める。

水陸両用の服を着たまま、そのまま海へ飛び込む。

普通の海なら、周りから見れば入水自殺かと思われるかもしれない。

でも、そこは海ガチ勢が集まる場所だ。

泳ぐ人。

潜る人。

釣る人。

みんな自分の海を楽しみに来ている。

だから私みたいな陰キャが突然海へ飛び込んでも、誰も気にしない。

たぶん。

海へ入ると、まず頭が冷える。

熱を持っていた脳が、ゆっくり静かになる。

それから、不思議なことが起こる。

私はストレスが溜まると、喉が詰まる。

何かが引っかかっているような感覚になる。

息はできる。

でも苦しい。

それが海へ入ると、ずるりと落ちるような感覚がある。

医学的な理由は分からない。

気のせいかもしれない。

でも、私の体は確かにそう感じている。

息が吸える。

大きく息を吸う。

潮の匂いがする。

風が吹く。

波の音が聞こえる。

顔を上げると、水平線が広がっている。

「ああ、生きてる。」

そんな気持ちになる。

もちろん、海に入っただけで鬱が治るわけじゃない。

家へ帰れば、また不安は戻ってくる。

将来のことも考える。

仕事のことも考える。

でも、海にいる間だけは違う。

頭の中の騒がしさが静かになる。

それだけでも十分価値がある。

私は以前、

「自転車は乗る抗うつ剤」

と書いた。

今ならもう一つ付け加えたい。

海もまた、私にとって最強の抗うつ剤だった。

もしあなたの近くに海があるなら、一度だけ行ってみてほしい。

泳がなくてもいい。

波の音を聞くだけでもいい。

風を浴びるだけでもいい。

自然は、こちらが元気かどうかなんて気にしない。

ただ、そこにある。

その「変わらずそこにある」ということが、鬱で揺れ続ける心には、とてもありがたかった。

なぜ海はメンタルに良いのか

後から調べて知ったのだけど、海や川、湖などの水辺を「ブルースペース(Blue Space)」と呼び、その心理的な効果を研究している人たちがいるらしい。

まだ研究が進んでいる途中ではあるけれど、「海の近くで過ごすことは気分やストレスに良い影響を与える」という研究はかなり増えている。0

調べてみると、私が感じたことにも理由がありそうだった。

① 「今ここ」に意識が戻る

波は同じように見えて、一つとして同じ形はない。

波の音。

風。

潮の匂い。

水平線。

海には刺激が多い。

でも街中のように情報が多すぎるわけでもない。

脳は自然に景色や波へ注意を向けるため、頭の中で将来のことばかり考え続ける状態から抜け出しやすいと言われている。

私は以前、

「自転車は瞑想」

と書いた。

海にも同じものを感じた。

② ストレスが下がりやすい

自然の中にいるだけでもストレスは下がると言われるが、水辺ではさらにその効果が期待されている。

波の音や水の動きを眺めることで、心拍や緊張が落ち着き、リラックスしやすくなるという研究もある。

私の場合は、海に飛び込むと喉の詰まりが少し楽になる。

医学的な理由は分からない。

でも、体は確かにそう反応している。

③ 運動が自然に組み合わさる

私の場合は、自転車で海へ向かう。

片道20〜30分。

海で泳ぐ。

また自転車で帰る。

つまり、

・日光を浴びる
・有酸素運動をする
・自然の中で過ごす

これらが全部セットになっている。

運動そのものが気分の改善につながることはよく知られている。

そこへ海という環境が加わることで、私にはさらに効果を感じられた。

④ 「何もしなくていい場所」

海は私に何も求めてこない。

仕事もしなくていい。

成果も出さなくていい。

生産性もいらない。

ただ波が来て、波が返っていく。

鬱になると、

「何かしなければ」

「役に立たなければ」

そんな考えばかりになる。

でも海は違う。

私が元気でも、元気じゃなくても、

海は同じようにそこにある。

その変わらなさが、とてもありがたかった。




もちろん、海へ行けば鬱が治るわけではない。

帰ればまた不安は戻る。

でも、

私にとって海は、

気持ちをゼロに戻してくれる場所だった。

だから今でも思う。

もし家の近くに海があるなら、一度だけでも行ってみてほしい。

泳がなくてもいい。

波の音を聞くだけでもいい。

私にとって海は、

今でも最強の抗うつ剤である。

訳アリな元会社勤め。発達障害を持ちながら(主に)小学生を世話する仕事をするようになった。恐ろしいことに小学生の育成支援のプロフェッショナルと名乗らなければいけないことに最近気づいた。月に何件かこころだとか、教育の勉強会に金を貰いながら行けるので性に合ってる今日この頃。自己目標は「人格の成熟」メンタルがやられていると書くことで発散しようと筆が進む。

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